震災の日に
神戸のメリケンパークには、地震の時に、
壊れた岸壁がそのまま保存されている。
その岸壁の手前に、おじいさんとおばあさんが、
やっている喫茶店があった。
残念ながら、過去形である。
その喫茶店で、ランチをとっていると、
見知らぬおばあさんがやって来た。
常連さんらしく、二言三言挨拶をしたかと思うと、
喫茶店の老マスターから、ビニール袋を受けとった。
なにやら、いっぱい入っていて、おばあさんは、
ランチを食べるでもなく、コーヒーを飲むわけでもなく、
そそくさと出て行った。
少しして、わたしも喫茶店を後にした。
外に出ると、青い海が目の前にひろがり、
岸壁から、さっきのおばあさんが、
なにやら、しきりに海に向かって投げているのが見えた。
おばあさんは、パンのみみを、ひとしきり
海にまいたあと、1枚の紙を海に流した。
「おばあちゃん、海汚したらあかんやん!」
すると、おばあさんは、力のない声で、
「ご主人が、地震で亡くなったこと」
そして、
「その人は、むかし船乗りだったこと」
そして、
「夢を見たこと」
「夢でご主人が、カモメになって、帰って来たこと」
だから、「海に 浮かぶたくさんのカモメに
パンをあげていたこと」を話してくれた
「でもなぁ、おばあちゃん、
紙は海に捨てたらあかんで」
「わたしな、毎日主人に手紙書いてんねん
でも、どれが、主人かわからへんねん」
ここ何年もおばあさんを見かけていない。
船乗りのだんなさんが迎えにきたのだろうか?
おばあちゃ~ん
2006/6月のブログを再掲しました。
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