座薬からのSOS -3-
近づいて見ると、父は後部座席に
弱々しく横たわっていた
医者も診察室からかけつけ、脈を診ると
看護士さんも車椅子を持って来てくれた
あわただしく時が過ぎてゆく
女性ばかり3人の看護士さんが
父を車椅子に乗せようとするのだが
ほぼ意識のない父は、体重こそ50kgぐらいだが
ただの人形のようで、なかなか、うまく出せない
弟と二人で
ちょっと強引に父を車から引きずり出した
山の上なので、気温は零度近い
あわてて診療所の中に運び込んだ
「熱、はかりますね」
看護士さんが体温計を脇に差し込んだ
しばらくして
「39.3度ありますね。熱の為に
朦朧(もうろう)としているんですね」
えーっつ!!そんなばかな
だって、全然おでこも熱くなかったのに
だが、体温計は、うそをつかない
ひとまず、座薬で熱を下げることにし
点滴も3本受けることになった
医者からは
インフルエンザは、検査したが
陰性なので、原因がわからない
明日までに熱が下がらなかったら
大きな病院に紹介状書くから
あす朝、また様子を知らせてください
とのことだった
それから、1時間熱は全く下がらなかった
医者も、ちょっと不安げだったが
看護士が
「ひょっとして、座薬出ちゃってるのでは?」
その一言で、オムツがあけられ
「あっ、まだ入ってますね」
というわけで、熱を下げるための点滴が
もうひとつ増えた
そして、また1時間がすぎ
医院の閉まる時間にもかかわらず
医者も看護士も延長してつきあってくれた
熱も下がる兆しが見えてきたので
あす朝必ず報告するということで
真っ暗になった医院を後にした
もうひとりの末の弟もかけつけていたが
みんなで、実家に帰り
まだ意識朦朧としている父をふとんに寝かした
今晩がヤマ場であることは
みんなが口には出さないがわかっていた
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